Windows 10のサポートが終了した今日このごろいかがお過ごしでしょうか。
「このままPCを使い続けても大丈夫だろうか?」と不安を感じながらWindows10を使ってたりしちゃいますか?
サポートが終了したOSを使い続けるのはセキュリティ上好ましくありません。
とはいえ、Windows 11へのアップグレードには費用や手間がかかる上、古いPCではスペック的に対応できないケースも...
そこで注目したいのがZorin OSをはじめとするLinux系OS
古いWindows 10 PCにLinux系OSをインストールして延命できるか検証を行い、少なくともWindows 10 PCの余生としては十分な動作をしてくれることがわかりました。
ここまで来たら、「いっそのことメインPCのOSとして完全に脱Windowsできるのではないか?」という考えにいたり
数日間、Windowsを(ほぼ)封印してLinux OSでの生活を試してみました。
この記事では、最新版のZorin OS 18を検証用PCにインストールし、その使用感や実用性を徹底レビューしますのよ。
もくじ
脱Windows検証用PCのスペック

前回の検証では十数年前のPCを使用し、延命としては成功したものの、メイン使用にはスペック不足を感じました。
そこで今回は、Windows 11へのアップグレードに惜しくも対応しなかったCPUを搭載した、以下のスペックの中古ノートPCを用意しました。
Panasonic Let's note CF-LX5(2016年春モデル)
CPU:Intel® Core™ i5-6300U
メモリ:4GB
ストレージ:SSD 128GB
(ほぼ)Zorin OS 18だけで過ごす日々

数日間Windowsを使わずZorin OSで生活する中で思ったことをメモしていったのでご覧あそばせ。
Windowsユーザーなら即座に慣れる! Zorin OSの快適な操作感
Zorin OSを使ってまず感じたのは
Windowsの常識でZorin OSを使えるということ
操作性はほぼWindowsそのもの。Ctrl+C,Vでのコピーやペースト、Shift+矢印での文章選択、2本指トラックパッドスクロールなど、Windowsユーザーなら迷うことなく使い始められます。
画面の見た目はWindows 10や11のような感じ

もちろんデスクトップにアイコンを並べたり
よく使うアプリは下のタスクバーに貼り付けておいたりと機能的にも使い慣れたWindowsに近いです。
スタートメニューはWindows 7を彷彿とさせるデザイン。

Windowsの操作に慣れている人にとっては、Zorin OSは非常にスムーズに移行できる代替OSと言えるでしょう。
現代のPC作業は「ブラウザ完結型」! Zorin OSで不便なし
現代において、PCで行う作業の多くはウェブブラウザ上で完結します。
例えば
音楽、動画コンテンツの視聴(VOD)
ネットサーフィン、ショッピング
簡単なオフィス系作業(Google Docsなど)
これらはWindowsにインストールしたGoogle Chromeなどのブラウザ上で動かしていたはず。
Google Chromeは公式でLinux対応(=Zorin OSにも対応)しているので、
Google Chromeさえインストールできれば、Windowsで使っていたサービスをそのままZorin OSでも使うことができます。

動いているOSがWindowsであろうとZorin OSであろうと、ほとんどのライトユーザーにとっては関係なし。
各サービスのパスワードをGoogleのパスワードマネージャーで管理していたのであれば、それも引き継ぎ可能。
エンタメ用途や一般的な情報収集においては、Zorin OSでも全く不便を感じませんでした。
クリエイティブ用途ではWindowsアプリの豊富さには敵わず
写真や動画を扱う場面では、脱Windowsの壁にブチあたりました。
ブログ記事をZorin OSだけで完結できないかと検証してみたのですが
まずブログ記事の文字を打つのは全く問題なし。下書きはGoogleドキュメント上で行うのですが、それはGoogle Chrome上で動いてくれますからね。
ただ写真の加工が必要になった際、Windowsのアプリの豊富さを痛感
画像リサイズについては Windows用ソフト「Caesium」がZorin OSの互換機能でうまいこと動作し、縮小は可能でした。

ただ画像の補正や文字入れは、普段使っているWindows向けソフトが動作せず
結局この作業のためにWindowsを起動してしまいました。(ガバガバ縛り)

Zorin OSのアプリストアで代替ソフトを揃えればこういった作業も可能でしょうけど
Windowsアプリの選択肢の多さには負けてしまう。そんな現状。
写真・動画編集を日常的にするのであれば、Windowsが必須と言えます。
メモリ8GBはほしいなぁ〜

これは検証用PC固有の問題ですが、メモリ4GBはやはり厳しい。
ブラウザを全画面に表示して1つの作業だけをするなら問題ないんですが
YouTubeを見ながら別の作業をするなど、複数の作業を同時に行うと動作が重くなります。
Zorin OSの電力設定をパフォーマンスモードにすればある程度改善しますが、
快適なマルチタスクを求めるならメモリ8GBはほしいところ。
ゲームは起動するが、まともに遊べるかは別問題

ダメ元でSteamのゲームも動かしてみましたぞ。
SteamのクライアントソフトはLinuxに対応しており
Windows向けゲームの起動も一応は可能。(詳しくは分からないけどSteam自体の互換機能で起動している?)
しかしながら
起動に時間がかかり、動作ももっさり。
一部のゲームはそもそも起動しなかったり、タイトル画面から先に進めないなど、まともに遊ぶことはできませんでした。
今回はスペックの低いLet's Noteで試したので、よりハイスペックなPCであれば動作する可能性はありますが
そもそもSteam上のゲームのほとんどはWindows向けであり、Zorin OS上で確実に動作する保証はナシ。
特にオンライン対戦系のゲームは、推奨環境であるWindowsでのプレイがお勧めです。
ただSteamユーザーの3%がLinux系のOSを使ってるという調査結果もあり
今後はLinuxでの動作を公式にサポートするタイトルが出てくるのかも...?
業務用途での「脱Windows」は非現実的

個人の趣味やエンタメ用途ではZorin OSの可能性が見えましたが、業務での利用となると話は別。脱Windowsは非現実的です。
業務用ソフトはやっぱりWindows

まず、多くの仕事で必須となるのがMicrosoft Office(Word、Excel、PowerPoint)
私も本業の仕事ではこれがないとダメ。
Zorin OSを含むLinux系OSにもLibreOfficeなどの互換性のあるOfficeソフトが入っていますが、
別のソフトである以上、レイアウト崩れや互換性の問題が発生するリスクが高まります。
業種によっては専用の業務用ソフト(会計ソフト、CADソフト、顧客管理システムなど)を使うと思いますが、そのほとんどがWindows環境が前提になっているはず。
エミュレーターの不確実性とサポートの問題
Windows系のソフトをLinux系のOS上で動かすためのエミュレーターはありますが、まともに動くかどうかは未知数。
業務で使うツールが「動くかもしれない」という不確実な環境で運用するのは、お仕事上ではNG。
トラブルが発生した際、推奨環境外での使用はメーカーやIT部門のサポート対象外となるのが一般的です。
業務環境は安定性と互換性が最優先
企業や組織の業務としてZorin OSをはじめとしたLinux系OSを導入するのは現時点ではまずムリ。
世界中の企業が足並みを揃えてWindowsからLinux系OSへ移行するような革命的な変化が起きない限り、
安定性、互換性、サポート体制が確保されているWindowsまたはMacを業務で使い続けるべきでしょう。
【結論】Zorin OSで脱Windowsはどこまで可能か?

数日間のZorin OS生活の結果、脱Windowsが可能な範囲はこんな感じ
ライトユーザー:一般家庭でエンタメやネット利用がメインなら、もうWindowsは必要ないと言っちゃってもOK
無料で使えるZorin OSは、Windows 10から11にアップグレードできないPCを使い続ける方法としてベストチョイス
クリエイターやゲーマー:現状では、アプリの豊富さや互換性の問題からWindowsが必須
ただ個人レベルであれば、試してみるのはイイかも。無料だし。
ビジネスユーザー:ムリに決まってんだろ、Windowsを使え
こう見ると結構なご家庭ではWindowsは不要になってくるのではないかなと思います。
写真の色合いを変えて、文字を入れて...なんてことする家庭はあんまりないでしょうから。
するとしてもスマホやタブレットを使うでしょうね。インスタとかアプリ内にそういう機能あるんでしょ?
今メインPCを組むぞっていう人がわざわざZorin OSを使うってことはないと思いますが
家庭利用の範囲であればZorin OSでも十分なので
Windows 10サポート終了を機にPCの買い替えやOS移行を検討しているのであればZorin OSをとりあえず試してみるのがオススメですよ。





